①もやもや血管とは?
痛みを起こしている組織の周辺には、異常な毛細血管=もやもや炎症血管ができていて、この血管による痛みが関節痛と呼ばれる痛みの原因として一定割合あることが分ってきました。整形外科の従来の治療では効果が得にくい痛みの原因の一つとして注目されています。
※もやもや血管治療においてパイオニアである奥野クリニックの奥野先生の動画で丁寧に解説されています。
当院は奥野クリニックで臨床実地訓練を受け動注療法のライセンスを付与頂いております。
②もやもや血管の治療法は?
炎症部位より上流の動脈に注射をして塞栓物質を流します。もやもや炎症血管は細く、流れも遅いため塞栓物質は炎症部位で血管を詰めることができます。
③作用機序に関して
もやもや血管を塞栓させるために抗生物質(イミペネム水和物・シラスタチンナトリウム)を使用します。直ぐに分解される塞栓物質を使います。2-3分で正常部位の血流は改善しますが、もやもや血管は構造が不完全であるため選択的に塞栓効果が持続します。その結果もやもや血管による痛みが軽減します。使用する抗生物質は医薬品として国内承認されておりますが、承認されている効能・効果と当院での使用目的・方法は異なります。
④痛みの改善率に関して
痛みの改善率に関しては、手・手関節では約7割の方の痛みが半減、9割の方に効果を認めていますが、足、肘の効果は少し劣り、痛みが確実にゼロになる治療ではなく、強い痛みを和らげることを目標とした治療になります。治療効果は、治療後4週間程度を目処に現れてくる方が多いです。
⑤副作用について
- 一過性に起こる皮膚や爪の色調変化、痛み、違和感
通常は数時間以内に回復しますが、3週間程度変色したケースも報告があります。
- 内出血・神経損傷
針を用いた治療になりますので残念ながら内出血が起こる可能性はそれなりに高いですが、通常3週間程度で自然消失する場合が殆どです。神経損傷に関してはエコーを用いて最大限注意して行いますが、絶対に避けることが出来る訳ではありませんが、動脈治療を行う部位周辺の神経は末梢神経であり、通常3カ月程度で神経症状は改善することが報告されています。リスクとしては採血と同程度と考えられます。
- 使用薬剤に対するアレルギー
薬剤アレルギーはある一定の割合で起こる人がいます。症状としては蕁麻疹・吐き気・ショックなどが挙げられ、治療を要するアレルギーの発生頻度は0.4%程度と報告されています。