治療方針
日本人が病院・診療所を受診する愁訴で最も多いのは、痛みです。
中でも首や肩・腰・膝などの運動器に関連する痛みが発生した場合、どこにかかるのでしょうか?
医療機関であれば、整形外科やペインクリニック。
代替医療であれば接骨院・鍼灸院・整体・カイロ・マッサージと多岐にわたると思います。
しかし、「レントゲンは大丈夫だから、お薬で様子を見ましょう。」「湿布で様子を見ましょう。」「運動をしましょう。」「麻酔薬でブロックしましょう。」などと言われ、治療していたけれど、「何も変わらないんだけど・・・。」あるいはマッサージで接骨院や整体に行っても、「凝ってますねえ」または「骨がゆがんでいます。」などと言われ、施術を受けてもその時気持ちいいだけで「すぐに元通り」ということもしばしばです。
人間の生活には、動きという概念が切っても切り離せないにも関わらず、痛みの無い姿勢でレントゲンやMRIを撮影している場合も多いこともあり、慢性的な痛みの多くはレントゲンやMRI では原因が特定できないことも稀ではありません。また椎間板ヘルニアや変形性関節症などのレントゲンやMRI画像と患者さんの症状が一致しないことも多いのです(_el Barzouhi, A. et al. N Engl J Med 2013.368(11): 999-1007.)。
近年、高精度の超音波診断装置(エコー)が臨床応用されてから
痛みの原因としての筋膜を中心とした線維性結合組織(fascia:ファシア)が注目されています。(参照:日本整形内科学研究会のHP)
痛みやしびれ等の症状に対して行う、高精度なブロック注射やfasciaリリース注射(ファシア・ハイドロリリース fascia hydrorelease)を行う治療に期待が寄せられています。
ただし、痛みの中には手術療法がブロック療法や徒手療法よりも優れる場合もあることは、見落としてはなりません。その判断を含めて、運動器を専門に取り扱う整形外科医にご相談ください。